ebook

第2章

DXに最適なアプローチとは?


DXに取り組む多くの企業が、「ビッグバンアプローチ」や「サイロ化されたアプローチ」では、本来の目的を達成することが難しい中、注目されているのは「実用的なアプローチ」です。

「実用的なアプローチ」では、すでに構築したモデルを基に構築し、すでに持っているデータや分析を活用しながら、それらをサイロ化された領域を超えて適用します。各グループが互いに連携できるようになると、組織は持っていたことさえ気づいていなかった新たな価値を発見することできます。

また、この「実用的なアプローチ」はリスクも低く、段階的に価値を提供できることも大きなメリットと言えます。これは今の時代において非常に重要なことです。

「実用的なアプローチ」は、データとモデルを体系的に利用して、開発プロセスや販売時点だけでなく、製品やサービスのライフサイクル全体を通して、顧客に優れた価値を創造し提供するものです。

ここから、具体的なDXの「実用的なアプローチ」の事例をご紹介しましょう。

エアコンプレッサー製造メーカーであるアトラスコプコ社は、開発から生産、販売、サービスにいたる製品のライフサイクル全体の改善と新たな価値の創出に、MATLAB®とSimulink®を採用しています。

  • シミュレーションモデルと社内データソース(ERP, MES, PLM, IoT)を統合しデジタルツインを構築
  • 開発・生産・販売・サービス各部門で共通のデジタルツイン環境を使用
  • 製品に搭載したセンサーにより予知保全サービスを構築し、サービス部門は顧客固有の新たなメンテナンスビジネスを展開

“どのデータにアクセスするのも必要なのはわずか2行のMATLABコード。10分もあれば、世界中のどのモデルでも全データを入手し、分析に着手することができます。”

三井化学は、製造現場における外観検査の自動化を行うにあたり、Python-Kerasで開発したAIモデルの現場実装を実現するツールとしてMATLABを採用しました。

  • AIモデルの現場実装にあたりユーザー利便性やメンテナンス性の課題が表面化
  • 現場で誰もが使えるAIツールを展開するため、PythonとMATLABと併用したワークフローを採用
  • 効率的かつ確度の高い開発を実現し、作業時間の8割削減を達成

“MATLABを活用することで、現場実装上の課題が解決され、工数を掛けることなく、確度の高い開発に繋げられるようになりました。”

ダイハツ工業は、自動車エンジンのノッキング音判定のAIによる自動化を、MATLABを使用して実現しました。この成果を他部署とも共有することで、データを収集する体制を強化しました。社内のデータサイエンス教育も開始しています。

  • 熟練技術者と同等の精度でのノッキング音判定を実現
  • データサイエンスを実務に活かすために、社内のAI人材の育成が急務となり全社的な取り組みを開始
  • 業務ニーズを組み込んだMATLABトレーニングによりAI人材を育成

“他の言語も試してみましたが、プログラミングの壁が高かったですし、すぐには使えなさそうでした。自分たちで使い、すぐに成果を見たかったので、ドラッグ&ドロップで必要なデータの取り込みが容易にできるMATLABに決めました。”